令和2年4月1日から民法が120年ぶりに改正されることとなりました!
銀行は大急ぎで対応に追われています。
民法改正を勉強して思ったことは、
「個人事業主の借入が難しくなるのでは?」
まさにこれです。
今回の民法改正で何が変わるのかを確認していきましょう。
目次【本記事の内容】

いな穂プロフィール
・現役銀行員
・融資担当者
・融資歴6年
民法改正のポイント
民法は1898年(明治31年)に施行され、部分的な改正はありましたが、抜本的な改正は120年ぶりとなります。
民法の内容
- 第1編 総則
- 第2編 物権
- 第3編 債権 ←今回の内容
- 第4編 親族
- 第5編 相続
総則と債権が主な改正点ですが、私は銀行員という立場なので借入時の注意点をお話していきます。
第3編 債権(保証について)
民法改正の目的は【保証人の保護】です。
債務者(お金を借りる人)は融資条件について理解していますが、保証人は債務者ほど理解しているとは言えません。
実際に、私が保証人へ融資条件の説明しても

はいはーい
といった感じであまり理解しようとしていないケースもあります。
しかし、債務者がお金を払えなくなって保証人へ督促すると

私は知らない!お金ない!
と逆上される方もいらっしゃいます。
そんなことにならないよう、つぎの2点が義務付けられました。
- 保証人への情報提供
- 公正証書の要求
今回は公正証書について見ていきます。
全ての融資に適用される?
今後発生する全ての融資に対して保証人への情報提供および公正証書の要求が義務なのかといえば、そうではありません。
~公正証書の要求が必要な場合~
⇒事業性融資の個人保証
⇒経営者や取締役など以外の保証
言い換えれば、
- 住宅ローンなどの非事業性融資
- 会社の取締役が保証人となる融資
このような場合は公正証書が不要となります。
公正証書とは
そもそも、公正証書がどのようなものかを説明します。
公正証書のポイント
- 権利・義務・事実等を証明する証書
- 公証事務を行う公証人が作成
- 公証人は法務大臣に任命された人
- 公正証書は公証役場で作成
普通に生活をしていれば、公正証書に関わることはほとんどありません。
私も銀行に勤めるまでは公証役場すら知らなかったぐらいです。
お近くの公証役場を調べるならココ!
公正証書は借入日前1か月以内に取得しなければなりません。
公正証書の作成
公正証書が出来上がるまでの流れです。
1.口授
保証人が融資条件の説明をする
2.筆記
聞いた内容を基に公証人が文書を作成
3.読み聞かせ
公証人が保証人に対し読み聞かせ
4.署名押印
内容を確認し署名押印して完了
注意すべきは口授です。
ここでは、保証人として融資条件をしっかりと理解しているかを確認されます。
融資条件が説明できなかったり、メモした内容をそのまま読むだけだと、公証人から作成を拒絶される場合があります。
また、公正証書は保証意思1件につき手数料が1万円程度掛かります。不便になるし無駄なお金も掛かるし、辛い改正ですよね。
公正証書作成のフローチャート
大雑把になりましたが、イメージとしてはこのような流れになります。
住宅ローン・マイカーローン、資金使途不問のフリーローンは非事業性の融資となりますので、今回は該当しません。
個人事業主の場合
共同して事業を営む者の定義が曖昧です。
節税の為に配偶者や親を専従者としている場合は認められない可能性もあるので注意が必要とのことでした。
会社の場合
代表取締役や取締役が保証人になっていただけると、銀行側としても簡単で望ましい(笑)
ちなみに、監査役は業務執行権限がないので公正証書が必要となります。
今後は融資の申込時に商業登記簿謄本・定款・決算書の別表も出せと言われますが、民法改正によって確認しなければならないので応じてあげてくださいね。
まとめ
今回の民法改正のポイントは、事業性融資に対して経営に関与していない方が保証人となる場合、公正証書が必要になることです。
大企業や規模の大きな会社は特に問題ないでしょうが、中小零細企業や個人事業主は借入のハードルが高くなってしまいます。
今後の動きを注視しなければいけませんね。
最後まで読んでいただきありがとうございました。