公正証書を作成したくないならどうする?2つの方法を解説

銀行

4月から民法改正によって公正証書が必要になると前回の記事でお伝えしました。

 

 

お客様からも

フリーランス

公正証書などの手続きが面倒になるんだけど、何か良い手はない?

と相談されています。

銀行内でも「こうしたらいいんじゃね?」と話も挙がっているので、参考にしていただければ幸いです。

 

 

いな穂
いな穂

いな穂プロフィール

・現役銀行員

・融資担当者

・融資歴6年

公正証書が必要な場合

銀行での借入で事前に公正証書が必要となるケースはこちらです。

個人への融資
⇒事業性融資の個人保証
法人への融資
⇒経営者や取締役など以外の保証

 

民法改正の目的は【保証人の保護】です。

個人事業主の共同事業者でもない親族や会社の経営者等になっていない人が保証人になる状況は、銀行から保証能力が低く保全を高めたい理由で保証参加する場合がほとんどです。

でも、そういう人たちは事業について理解していなかったり、説明不十分で保証人になってしまう可能性があります。

 

そこで、保証人として理解できているのかを確認するために公正証書の作成が義務付けらます

公証人から理解不十分と判断されれば公正証書が作成されず、借入できない状況になってしまいますので、新たな壁が出来てしまいました。

 

公正証書の作成を逃れる方法は?

  • 個人事業主は法人成り
  • 会社は取締役の追加

この二つが考えられます。

 

個人事業主の場合

事業性融資については、ほぼほぼ公正証書が必要になります。

それなら法人を設立して

  • 代表取締役は自分
  • 取締役は配偶者

とすれば保証人として2名確保できます。

債務者⇒会社
保証人⇒自分・配偶者

 

会社の場合

取締役を追加すれば、新しく追加した人も公正証書なしで保証参加することができます。

今までは後継ぎとして勤務させていた息子に保証人になっていたけど、4月からどうしようと悩む社長には【息子を取締役に追加する方法】を検討してみるのはいかがでしょう。

 

注意点

公正証書の作成を逃れたからといって、それで終わりではありません。

今回の民法改正でつぎの2点が義務付けられています。

  1. 保証人への情報提供
  2. 公正証書の要求

保証人への情報提供がポイント!

 

4月からは以下の情報を債務者から保証人へ情報提供しなければならなくなりました。(民法第465条の10)

  1. 財産および収支の状況
  2. 他の借入があればその金額、返済状況
  3. 担保提供しているものがあるか

つまり、会社の業況がどうなのかを保証人へ説明しなければなりません。

 

銀行も賢いですから、

銀行員
銀行員

保証人に説明しましたよね?

説明を行ったことを表明するためにこちらの確認書へ署名押印をお願いします。

と自分(銀行)を守るために書類を準備しているはずです。

 

書類を書いた後に保証人へ説明していないことが発覚し、賠償問題となれば負けるのは債務者側です。

説明責任は必ず果たしましょう。

何を説明するのか

情報提供をしなさいと言われてもよくわかりませんよね。

そこで、情報提供になり得る書類を解説付きでまとめました。

貸借対照表

会社の財政状態がわかる書類です。

資産がどれだけあるのか、負債がどれだけあるのかを確認できます。

損益計算書

会社の業績がわかる書類です。

期中にどれだけの収入と支出があって利益が出たのかを確認できます。

勘定科目明細書

貸借対照表と損益計算書の詳しい中身が記載されています。

例)流動資産のうち現金100万円、〇〇銀行普通預金1,000万円などが記載されます。

返済用口座の通帳

間接的にではありますが、返済が遅れていないかを確認できます。

勘定科目明細の借入金明細を見れば、どこの銀行から借入をしているのかわかります。

その通帳を見ることで返済が行われているか把握できます。

所有不動産の謄本

こんな書類です。

権利の部(乙区)には銀行などから担保として徴求されていれば

抵当権者 〇〇銀行

と記載されます。

もし担保物件があれば謄本を見せましょう。

 

会社の社長でも全てを理解しているのか怪しい所ではありますが、説明するのであれば上記の書類を提示すればOKでしょう。

 

まとめ

会社を設立し、取締役に保証参加させたい人を追加すれば、公正証書の作成を逃れることがわかりましたね。

しかし、情報提供はどんな場合でも行う必要がありますので、「よっしゃ、公正証書の必要が無くなった!ラッキー!」と思わずに、保証人になってもらえることに敬意を表し、きちんと情報提供しましょう。

 

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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