皆さん、こんにちは!
いな穂と申します。
日商簿記の資格が人気な理由として挙げられるのは就職や転職に有利だから!
じゃあ、なぜ企業は日商簿記の保有者を欲しがるのでしょうか?
今回は私も銀行に勤めている一人として、銀行側が欲しがる理由を考えていきたいと思います。
欲しがる理由
一言でいうなら、業務の理解度が圧倒的に違うからです。
私はOB訪問やインターンシップなどを通じて100人以上の大学生と関わってきましたが、銀行で働きたいという学生から「簿記って取った方がいいんでしょうか?」と聞かれることがしばしばあります。
そんな彼ら彼女らに対して「就職して苦労したくないなら取った方がいいよ」と伝えます。
そっけないですよね(笑)
でも、4月から支店へ配属されて
「じゃあキミは融資係ね」
なんて言われでもしたらどうします?
ある程度は先輩が教えてくれるでしょうが、自分でも勉強しなければいつまで経っても融資はできません。
先輩目線で言えることは、
仕事で使う用語ぐらい事前に勉強してください。
これに尽きます。
支店長が与える課題
私が今まで関わってきた支店長の中でもずば抜けて人材育成が上手な支店長がいました。
そんな支店長が新入行員に配属後与える課題が日商簿記の資格取得です。
銀行によって日商簿記が必須なところもあるでしょうが、私が働いている銀行は必須ではありません。その代わりに銀行業務検定を必ず取らなければなりません。
支店長がなぜ日商簿記を取らせようとしていたかというと、「商学部卒業でもない限り、銀行へ就職して専門用語の会話についていけるわけがない。日商簿記は運転免許証と同じで、銀行員に必須の資格だ」
と話していました。
(私は持っていませんでしたけどー!)
銀行員の初めの仕事
私が1年生に対して初めに教えることは決算書のデータ入力です。
データ入力なんて雑務じゃないか。と考える方もいるかもしれませんが、簿記の勉強をしている人はこのデータ入力が早い傾向にあります。
インターンシップの学生に対し、グループ対抗データ入力勝負と題して競わせているわけですが、とある時期に受け入れた大学生がめちゃくちゃ早く済ませていました。
早くできた理由はもちろん簿記を学んでいたからです。
例えば、損益計算書には売上総利益・営業利益・経常利益・税引前当期純利益・当期純利益といった5つの利益がありますが、その中で経常利益の部分から差異が発生していたとしましょう。
何が入力間違いなのか想像できますか?
答えはもちろん営業外収益もしくは営業外費用のどちらかが入力間違いです。
なぜなら、経常利益は営業利益から営業外収益と営業外費用を足し引きした利益だから。
簿記の勉強をしている学生であれば、すぐに営業外収益か営業外費用の項目をチェックするでしょう。
簿記を知らない人は初めからやり直して余計に時間が掛かります。
会社のかかりつけ医
私が銀行に勤める前に銀行員の方から「銀行員はかかりつけ医と同じだ」と言われたことがあります。
体調が悪い時に病院へ行くのは、自分の悪い所を診てもらい、その症状に適した薬を処方してもらうからです。
では、個人や企業がお金で悩んでいる時は誰を頼るでしょう。もちろん銀行ですよね。
ただ、資産運用で銀行に相談するのは絶対すべきではないです。カモにされるだけ(笑)
融資先はほとんどが法人相手なので、財務諸表が読めなければ話になりません。
むかし、こんなことを部下から相談されました。
そこには微々たる額の給与が販管費の欄に載っていました。
加えて、直近赤字。貸借対照表の資産の部には役員貸付金がばっちり記載。
すばらしいオチをかましてくれた後輩君。
決算書を見て分析が出来ていればその場で社長のウソを見抜けたでしょう。
まとめ
銀行で就職を考えているのであれば、簿記は取っておいて損はありません。
ただ、日商簿記3級を保有していたとしてもそこまでプラス点にはならないと思います。評価されるのは2級からでしょうね。
なぜなら、決算書が読めて当たり前だから。
最後に、なぜ今まで私が日商簿記を取得していなかったというと。。。
大学生の時に簿記を勉強して意味が分からなくて諦めたからです(笑)
でも決算書の財務分析は好きでした。そんな人間がよく銀行員として続いているのか謎ですよね。
最後まで読んでいただきありがとうございました。