投資を始めたいけど、なんとなく怖いイメージがあって始められない。投資は始めているけど、このままの方法で良いのかと悩んでいる。投資の勉強として本を読みたいけど難しい言葉が多すぎて結局買えずに(読めずに)いる方も多いのではないでしょうか。
実際、筆者である私も投資を始める際に手に取った『ウォール街のランダムウォーカー』をパラパラとめくりスッと閉じた経験があります。

もっと手軽に勉強が出来る方法はないのか!?
この記事では投資初心者でもわかりやすく理解できる投資の漫画『インベスターZ』を参考に投資を行う上で大切なことを紹介していきます。
インベスターZとは?
三田紀房さんが書かれた漫画で、2013年から2017年まで『モーニング』(講談社)にて連載されていました。単行本は全21巻あります。
三田紀房さんと言えば、日曜劇場で放送されている『ドラゴン桜』を書かれた人でもあり、私は『ドラゴン桜の』の他にも『エンゼルバンク』や『銀のアンカー』などの漫画も読みました。
為になる漫画は面白いですよね。
漫画の内容
この漫画の主人公は財前孝史という中学一年生の男の子です。彼が通う道塾学園では、新入生代表の挨拶を入学試験でトップの成績だった人が行うことになっていますが、財前は全教科満点の成績を残すほどの秀才です。
数ある部活勧誘がある中でも、謎の先輩から連れられてたどり着いた場所が、入学時の成績がトップの学生で構成される投資部であり、そこでの投資経験がこの漫画のテーマとなります。
インベスターZで学べる教訓
この漫画では投資についての勉強を行えますが、しばしば投資と投機がごちゃ混ぜに紹介されています。
これは私の主観ではありますが、これから紹介していく投資教訓に対して【投資】と【投機】に分けていきます。最後には【番外編】も用意していますのでぜひ読んでみてください。
【投機】損切の重要性
投資部に入部した財前はさっそく運用資金として100億円を手にします。100万円ではなく100億円という所に、投資部の大きさが伺えますね。
自分の好きなモノに投資をしてみたらいいというアドバイスを受け、ゲーム会社のゲーキチに30億円を投資します。
翌日にはゲーキチ株が10.1%の上昇をみせ財前は大喜び!先輩たちから売ってしまえと言われる中でも「まだ上がります」と反論し保有を決意。
その翌日も上昇し損益率は15%まで上昇しましたが、以降は下落し続け財前は凍死家になってしまいました。これでマイナスとなれば塩漬け株の完成です。
結局財前は2.6%の損益率で売却し約8,000万円のリターンをあげることが出来ましたが、投資部主将の神代圭介から利食いと損切りについて学びます。
利食い | 通常 | 20% |
初心者 | 10% | |
損切り | 通常 | ー10% |
初心者 | ー5% |
通常の売買では利食い20%損切り10%で、初心者であればその半分で取引を行うようにと指示を受けます。これは短期トレードの話であり、長期であれば手数料が掛かるため頻繁な売買を行わないことをおススメします。
また、損切りを行う理由としてはプロスペクト理論を使って説明をしています。
プロスペクト理論
【参照:Wikipedia】
一言でいえば、最初に損をした金額と同じ金額を追加で損をしたとしても、その時の危機感は薄れてしまうということです。損失額が大きくなれば大きくなるほど危機感は薄れ、いつまで経っても上がらない株を持ち続ける羽目になってしまいます。
【投資】負けない投資(敗者のゲーム)
投資部主将の神代は平日1時間、土日2時間を掛けてテニスの壁打ちをしています。
財前との会話では、テニス部にも勝てると豪語しています。実際にテニス歴5年団体戦準レギュラーとワンセットマッチを行ったわけですが、6ー2で神代が勝利しました。
勝てた理由がわからない財前に対し、
「俺はミスをしないテニスをしただけ」
と答えるだけでした。
というのも、投資の世界でもテニスに例えた格言があります。
チャールズ・エリスの書いた『敗者のゲーム』では、プロテニスの試合は素晴らしいプレーをした選手が点を取り勝利する。アマチュア試合では相手のミスによって点を稼ぎ勝利する。と例えられています。
・遅い球でもファーストサーブ決める
・ラリーも確実のセンターへ返す
ミスによって点を与えないことを徹底していました。
投資の世界でも個別株を運用して市場平均を上回る成績を出し続けることは難しいとされています。だからこそ、個人投資家は市場平均の成績を出すためにインデックス投資を行いましょうと言われています。
世界最強のS&P500指数のチャートを見てもわかるように、上昇と下落を繰り返しながらも過去から右肩上がりを続けています。
投資初心者が簡単に投資を行いたいのであれば、インデックス投資を行い、その中でもアメリカの主要企業500社が選ばれるS&P500指数に連動する投資信託に投資をしておけば、変な銘柄を買うよりも良いリターンをあげられると思います。
【投資&投機】型にはまる
主人公の財前と同い年で道塾学園創設者の藤田金七の玄孫である藤田美雪は、通う桂蔭学園で女子投資部を作りました。
メンバーの町田と久保田に対し、投資に必要なことは型にはまることだと述べています。
物理学者のアイザック・ニュートンは数々の業績を残してきた理由を語る際に、『私が遠くまで見渡せるとすればそれは巨人の肩の上に乗っているからです』と答えたそうです。どれだけ優秀な人でも先行研究や先人の教えを土台として学んでいるというわけです。
そこで3人は投資の神様ウォーレンバフェットの肩の上に乗ることを決意しましたが、それには自分に課したルールを守れなければならないと藤田が話します。というのも、ウォーレンバフェットもルールを決めてそれに従って投資をしてきたからです。
ウォーレン・バフェット(出典:Wikipedia)
やると決めたことはやる
並外れたことをしなくても並外れた業績を達成することはできるから。
行列のできるラーメン屋には絶対に並ばない
様々な情報に流されたり惑わされたりしないため。
食べたいものをはっきり言う
曖昧なことは言わずにその場ではっきりと決める。
他人から元気はもらわない
自分で自分のメンタルコントロールを行う。
短期投資や長期投資を行う上で自分の軸を持つことは大切です。自分の意志とは関係なくメディアや情報サイトを鵜吞みにして売買を行ったり、長期保有として考えていた銘柄を早期に売却してしまったという経験はないでしょうか。

私はあります(笑)
あらかじめ投資ルールを作り、そのルールに従って投資を続けていけば成功確率は高くなるといった内容でした。
【投資】守りの金
道塾学園投資部の渡辺信隆(高校2年生)は「金は永遠で最強の資産である。」と語っています。
金は貴重な資源で、全世界で今までに発掘された金の量は16万6600トン、オリンピックの水泳競技の公式プール3杯分しかありません。また、金の地下在庫は7万~8万トンしか無いと言われ、年間2000~3000トンが発掘されているとすれば30年以内に地下在庫は枯渇してしまいます。枯渇したとわかった時は金価格が暴騰しそうですね。
渡辺は財前に対し、世界は明日どうなるのかわからない。ドルもユーロも円も元も信用ならない。そういったとき信用できるのは無国籍通貨の金だ。と言います。
確かに、S&P500指数に連動するSPYと金価格に連動するGLDの株価チャートを比較すると逆相関の関係であるとわかります。
一方が値上がりするときは片方が値下がりするような関係にあり、お互いの株価が反対に動くというもの。
積極的な投資家には必要ないかもしれませんが、暴落が怖い投資家には金投資がピッタリで、ポートフォリオ内で分散を行うことが大切ですね。
【番外編】貯金のススメ
桂蔭学園女子投資部の久保田の母は、老夫婦から喫茶店を引き継ぐこととなりましたが、貯金が出来ない主婦に対する家計について書かれていました。
夫54歳、妻49歳主婦
大学2年の長男、高校3年の長女
年収800万円
貯金ゼロ
年収800万円はかなりの高級取りです。転職サイトdodaによれば50歳以上の平均年収は613万円です。それなのに毎月の収支はマイナスで、昔あった定期預金も取り崩してしまい家計管理に困っていました。
管理可能支出と管理不能支出に分ける
家計簿を付けられない主婦に対し家計簿は付けるべきではないと伝え、お金を貯める秘訣は家計のリストラだと力を込めます。
家計の支出項目は大きく分けると次のようになります。
可能支出 | 食費、洋服代、趣味の支出 |
不能支出 | 家賃、自動車ローン、住宅ローン、携帯料金、光熱費の基本料 |
可能支出を節約と失敗します。卵は一円でも安い遠いスーパーに行くとか、お小遣いを減らすなどの節約方法を行うと、精神的に参ってしまい長く続きません。そこで不能支出をリストラしようと話しています。
削減することではなく辞めることです。自動車を軽自動車に替えようというわけでなく、車自体を持たないと説得しました。
たしかに、私も令和2年までは自家用車を所有していました。年間の車両費はおよそ60万円。月平均で5万円が溶けるように無くなっていましたが、今ではそのお金が全て貯金に回るようになりました。
投資をするにはタネ銭が必要です。そのタネ銭を確保するためにもまずは貯金から始めましょう!
まとめ
漫画を読みながら投資の勉強が出来る『インベスターZ』ですが、短期トレードや長期投資を行う上で参考になる考え方が多く記載されていました。
ウォール街のランダムウォーカーや敗者のゲームといった難しい投資本の内容が細かく散りばめられていますので、難しい本は読みたくない人にとってオススメできる漫画です。
家計のリストラを行いタネ銭を貯め、あらかじめ決めたルールに従って長期投資はS&P500に連動するファンドと一部は金への投資、短期トレードは利食いや損切りを機械的に行いましょう。といった内容でした。